高いウイスキーってこういう味か。僕がスペイサイドを好きになった話。

高いウイスキーってこういう味か。僕がスペイサイドを好きになった話。

こんにちは、リトルカスクのりょうです( ・∀・)

今回はスペイサイドウイスキーのお話です。

……といっても、

「スペイサイドとはスコットランドの○○に位置し……」

みたいな話から始めても、たぶん僕が途中で飽きます(笑)

なので今回は、僕がスペイサイドのウイスキーを飲んできた中で、

「あ、このウイスキー好きだな」

と思うようになった話を書いてみようと思います。



画像

僕が初めて、

「ちょっと高いウイスキーを飲んでみよう」

と思って飲んだのが、マッカラン12年でした。

たしか、かなり背伸びして買った記憶があります。

なぜマッカランだったのか。

理由はものすごく単純です。

有名だったからです(笑)

今みたいに樽がどうとか、蒸溜所がどうとか、スペイサイドがどうとか。

そんなことはほとんど分かっていません。

「マッカランって有名らしい」

「高級なウイスキーらしい」

「じゃあ飲んでみよう!」

だいたいこんな感じでした。

そして、実際に飲んだ僕の感想。

「これが高くて有名なウイスキーか。」

…………。

今思うと、なんて浅い感想なんでしょう(笑)

味の感想ですらありません。

高い。

有名。

飲んだ。

以上。

我ながらひどいもの(笑)


酒屋で働いてから、もう一度マッカランを飲んでみた

それから酒屋で働くようになって、いろいろなウイスキーを飲むようになりました。

バーボン樽。

シェリー樽。

ピート。

産地の違い。

熟成年数の違い。

少しずつですが、

「ウイスキーって全部同じじゃないんだな」

ということが分かるようになってきました。

そしてあるとき、思い出したようにマッカランを飲んでみたんです。

すると、

「あれ?こんなに滑らかだったっけ?」

となりました。

華やかで、滑らか。

果実を思わせる甘さがあって、飲んだあとにもブドウやドライフルーツを思わせるような余韻が残る。

「ああ、シェリー樽のウイスキーって、こういう魅力があるのか」

ようやくそんな感想が出てきました。

……いや、遅くない?

酒屋で人にウイスキーをすすめてるのに?!

という文句は後で聞きます(笑)

でも、これってウイスキーの面白いところだと思うんです。

同じ一本なのに、飲む側がいろいろなウイスキーを知ってから戻ってくると、昔は分からなかったものが見えてくる。

昔の僕には、

「高くて有名なウイスキー」。

それが何年か経つと、

「滑らかで、華やかで、果実のような余韻がきれいなウイスキー」。

同じマッカランなのに、僕の中ではまるで別のウイスキーになっていました。

変わったのはウイスキーではなく、たぶん僕の方なんでしょうね。



画像

ここで少しだけ真面目なお話を。

スペイサイドは、スコットランドのウイスキーづくりを代表する地域のひとつです。

そしてこの地域には、マッカランだけではなく、

グレンフィディック、バルヴェニー、グレンリベット、グレンファークラスなど、有名な蒸溜所がたくさんあります。

スペイサイドのウイスキーはよく、

「華やか」
「フルーティー」
「甘い」
「飲みやすい」

なんて表現をされます。

たしかに、それは間違っていないと思います。

ただ、いろいろ飲んでみると分かるんですが、

スペイサイド=全部フルーティーで軽い

というほど単純でもありません。

同じスペイサイドでも、結構みんな性格が違います。

その中でも僕が好きなのが、

バルヴェニー12年とグレンフィディック18年です。


グレンフィディック18年。「爽やかな青年」が少し大人になる

グレンフィディックと聞くと、

「フルーティーで飲みやすいウイスキー」

というイメージを持っている人も多いと思います。

特に12年。

洋梨を思わせるようなみずみずしい香り。

甘さがあって、軽やかで、スッと飲める。

ウイスキーを飲み始めた人にもすすめやすい一本です。

でも僕は、18年になると少し表情が変わると思っています。

もちろん、グレンフィディックらしい果実感はちゃんと残っています。

ただ、その果物が少し熟してくる。

爽やかな洋梨や青リンゴだけではなく、

焼いたリンゴ。

ドライフルーツ。

デーツのような濃い甘さ。

そこにシナモンのようなスパイスと、18年間樽の中で過ごしたことを感じさせるオークの風味が重なってきます。

12年が、

「果物をかじったときのみずみずしさ」

だとしたら、

18年は、

「果物を焼いて、少しスパイスを振って、ゆっくり味わうデザート」

みたいなイメージ。

明るくてフルーティーだったグレンフィディックが、急に無口になるわけではありません。

ちゃんと昔の面影はある。

でも、ちょっと落ち着いている。

少し深みが出ている。

なんというか、

久しぶりに会った友達が、いつの間にかいい大人になっていた感じです(笑)

「お前……なんか落ち着いたな」

みたいな。

僕が初めて18年を飲んだとき、

「なんて完成されたウイスキーなんだろう」

と思ったのを覚えています。

派手に、

「俺は18年熟成だぞ!」

と主張してくる感じではないんです。

果実。

甘さ。

スパイス。

樽。

余韻。

それぞれが「俺が俺が」と前に出てこない。

ちゃんと全員で仕事をしている。

ウイスキー界の優秀なチームです(笑)

だから一口飲んで、

「うわ!○○の味!」

というより、

飲み終わったあとに、

「……うまいな、これ。」

となる。

僕にとってグレンフィディック18年は、そんなウイスキーです。


そしてバルヴェニー12年。君、本当にスペイサイド?

もうひとつ大好きなのが、

バルヴェニー12年 ダブルウッド。

これがまた面白いんです。

「スペイサイドってどんな感じ?」

と聞かれたら、

華やか。

フルーティー。

飲みやすい。

そんな説明をすることが多いと思います。

そしてバルヴェニー12年を飲む。

……。

君、思ってたスペイサイドとちょっと違わない?(笑)

もちろんフルーティーさはあります。

でも僕がバルヴェニーに感じる魅力は、それだけじゃないんです。

もっと温かい。

もっと丸い。

そして、どこか素朴。

バルヴェニー12年 ダブルウッドは、アメリカンオーク樽で熟成した原酒を、さらにヨーロピアンオークのシェリー樽へ移して熟成させることでつくられています。

アメリカンオーク由来のバニラやスパイス。

そこにシェリー樽からくる果実感や蜂蜜を思わせる甘さが重なる。

だから、華やかなだけではないんです。

蜂蜜。

バニラ。

果実。

少しスパイス。

そして木の温かさ。

僕にはこれが、

「果物のお酒」というより、「木と蜂蜜のウイスキー」

みたいに感じられます。

なんというかですね。

グレンフィディックが、

白いシャツを着て爽やかに、

「こんにちは!」

とやって来るとしたら、

バルヴェニーは、

少し渋いセーターを着て、暖炉の前に座ってそうなんですよ(笑)

でも、そのセーターが妙に似合っている。

派手じゃない。

キラキラしているわけでもない。

なのに飲んでいると落ち着く。

「ああ、これ好きだな」

となる。

僕はそういうウイスキーに弱いんです。



画像

「スペイサイドらしさ」って?

こうやって振り返ると面白いです。

僕が最初に飲んだマッカラン12年。

大好きになったグレンフィディック18年。

そしてバルヴェニー12年。

全部スペイサイドです。

でも、僕の中での印象は全然違います。

マッカランには、華やかさと滑らかさ。

グレンフィディック18年には、果実感と熟成による落ち着き。

バルヴェニー12年には、蜂蜜や木を思わせる温かさ。

「スペイサイドはフルーティーで飲みやすい」

それは入口としては、すごく分かりやすい説明だと思います。

でも、その言葉だけで終わってしまうのは少しもったいない。

華やかな人もいれば、爽やかな人もいる。

落ち着いた人もいれば、暖炉の前が似合いそうな人もいる(笑)

同じ地域なのに、それぞれちゃんと個性がある。

僕はそこがスペイサイドの面白いところだと思っています。


昔の僕に一本すすめるなら

初めてマッカラン12年を飲んで、

「これが高くて有名なウイスキーか」

なんて言っていた昔の僕。

もし今、その頃の自分に会えたら、

たぶん説明はしません。

シェリー樽がどうとか。

熟成年数がどうとか。

スペイサイドがどうとか。

そんな話をしても、きっと当時の僕はよく分からないでしょうから(笑)

代わりに、

マッカラン12年。

グレンフィディック18年。

バルヴェニー12年。

この3つを小さなグラスに少しずつ入れて、

「まあ、飲み比べてみてよ」

と言うと思います。

同じスペイサイドでも、こんなに違う。

そしてウイスキーって、知識を覚えてから飲まなきゃいけないものではなくて、

飲んで、「なんかこれ好きだな」から始めてもいい。

むしろ僕自身がそうでした。

最初の感想なんて、

「高いウイスキーってこういう味か」

ですからね(笑)

そこから何年か経って、同じウイスキーを飲んで、

「あのとき分からなかったけど、こういうことだったのか」

と思える。

それもウイスキーの楽しみ方のひとつなんじゃないでしょうか。

皆さんが初めて、

「ちょっといいウイスキーを飲んでみよう」

と思って飲んだ一本は何でしたか?

覚えていたら、ぜひ教えてください( ・∀・)